Kyobashi TIMES

東京メトロ銀座線京橋駅直結、有楽町線や浅草線、JR各線からのアクセスに優れ、感度のよい美食・美酒が集まっていると評判の東京スクエアガーデン。その1階にある「日本料理 京橋 婆娑羅（ばさら）」は、日本料理界の重鎮、小山裕久氏プロデュースということで敷居が高いのでは……と思いきや、店名である「婆娑羅」の「格式張らない自由気ままに」という意味のとおり、店内は高級感がありながら、とても開放的で居心地のよい空間です。

食事メニュー自体にも「自由気まま」な発想が出ており、名物はなんと「トマトすき焼き」。トマトにはうま味成分グルタミン酸が多く含まれているため、牛肉のうまみ成分であるイノシン酸との相乗効果で、じつは一般的なすき焼きよりもうまみが倍増するのだそうです。トマトは熊本県産、玉ねぎは淡路島産をメインに、その時の生育状況で産地を選定しているとのこと。斬新なメニューながら、お店のオープン以来、5年間愛され続けるメニューなのも納得です。
ところで、皆さんは、すき焼きの語源をご存知でしょうか。江戸時代にまでさかのぼり、杉の箱の中で魚介や野菜を焼いた「杉やき」や、農具の鋤の上で鶏肉や魚肉を焼いた「鋤やき」が語源と言われていますが、牛肉を使用した現在のすき焼きのスタイルは、明治時代に関西で誕生したもので、当時は牛肉を鉄なべで焼く調理法でした。関東には関東大震災後に伝わり、甘い割り下を使って煮る“少し贅沢な鍋料理”として関東では定着したと言われています。すき焼きを焼いてから砂糖と醤油と合わせるか、割り下をつくって煮るように作るのかは、関西と関東の違いです。
その伝統的な日本料理に「トマトを入れる」という革命的な「トマトすき焼き」が名物の「日本料理 京橋 婆娑羅」ですが、ランチなら「牛しぐれ煮 トマトすき焼き仕立て」というメニューで、ディナーの約半額で食べることができます。今回は、選べる主菜のなかに「牛しぐれ煮 トマトすき焼き仕立て」が組み込まれたランチメニューの中でも一番人気だという「昼膳 曙」をオーダーしました。まずは八寸（和食用語で前菜の盛り合わせのこと）が運ばれてきます。この日の内容は、空心菜のお浸し、じゅんさいの酢の物、ふき味噌の茄子田楽、そら豆、姫栄螺（ヒメサザエ）、ヤマモモの甘煮。旬の食材をつかっているため、季節によって内容は変わります。どれも素材の味を生かした繊細な味付け。なかでも初夏が旬のじゅんさいは、つるんとした喉越しとさっぱりした味わいで、暑さを感じ始める時期にぴったりです。

次に運ばれてきたのは、「自家製たまご豆腐」。すだちが添えられていて、これもまた爽やかです。舌触りがなめらかで、上品な出汁と卵の香りのバランスがよく、メインへの期待値を高めます。

ついにやってきました、目当ての「牛しぐれ煮 トマトすき焼き仕立て」。

柔らかく脂の甘い上質な牛肉と、肉厚で甘みの強い玉ねぎに、トマトの酸味が、驚くほど好相性。
彩りに添えられたバジルの香りもアクセントになっています。赤だし味噌汁と漬物がよい箸休めに。最後まで白米が進んでしまうおいしさです。食後のデザートは、黒蜜のかかったソフトクリームがついています。ミルク感たっぷりのソフトクリームと黒蜜の濃厚な甘さのコントラストがたまりません。

そのほかに、ランチメニューで「曙」の次に人気だという「十種野菜のかきあげポン酢丼」もオーダーしました。とくに女性に人気のようですが、男性でもお腹が満たされそうなボリューム満点の一品です。

人参やサツマイモ、玉ねぎといった定番の野菜のほかに、なんとアボカドやズッキーニも使われた、これもまた斬新な組合せ！その上にはミョウガがたっぷりとのっていて、ボリュームがありながらもさっぱりと食べられるかき揚げ丼でした。赤だし味噌汁と漬物、水菓子もついて1,200円とリーズナブルに楽しめます。

この日利用したカウンター席は板前の方との距離が近く、丁寧な仕事ぶりを目の前で見ることができます。席はカウンターのほかに個室もあり、普段使いのランチとしてはもちろん接待など様々なシーンで利用しやすいですね。駅直結でオフィス街ということもあり12～13時はとても混雑するので、13時以降が狙い目。すこし贅沢なランチや大事なビジネスの会食に、おすすめのお店です。

今回食べたランチ
昼膳 曙（3,132円・税込）
十種野菜のかきあげポン酢丼（1,296円・税込）

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