お散歩マップ

京橋・カルチャーウォーク!

2015.12.10

東京駅、日本橋、銀座。3つのショッピング拠点に囲まれた京橋エリアは、老舗の名店が集まりながら、
今、まさに新しい街に生まれ変わりつつある注目エリア。この間を地下鉄で移動してしまうなんてもったいない!
気ままに、寄り道気分で魅力溢れるスポットをめぐる“京橋・カルチャーウォーク”に出かけてみましょう。

 

古美術や映画に出合う アートコース

NIHOMBASHI STATION

日本橋スタート!

日本橋から銀座の間には、骨董の専門店やフィルムセンターなど、美術や歴史、文化好き にはたまらないスポットが多く点在しています。秋の心地よい風とともに日本橋をスター トして、目にもうれしくココロも弾むアートめぐりの小旅行へ出発です。

日本橋駅

骨董通り

KOTTO-DORI

老舗のお店が集まる
「京橋美術骨董通り」へ

日本橋から京橋へと続く東仲通り(通称:京橋美術骨董通り)は、表通りと比べて静かな佇まいで、店頭にひさしをつけた小さな建物が多く並びます。ここは「目利き」が集まる骨董のメッカ。もともとはこのエリアに多くの企業が進出し、応接室などに飾る骨董のニーズが高まったことから専門店が増えていったそう。今は現代アートを扱うギャラリーなども点在しています。

ギャラリーらしきお店の入り口で、おそるおそる中をのぞいていると、スタッフの方に「よかったらどうぞ」と招き入れられました。ちょうど新人作家さんの個展をやっているとのこと。「扱うジャンルはお店によってさまざまで、うちは若い現代作家を扱うことが多いですね」。飾られていたのは、数点の小さな油絵。繊細な色遣いに目を奪われます。

絵をじっくりと眺めているうちに緊張もほどけ、「これはどんなモチーフを描いているんだろう?」とどんどん興味がわいてきました。ビギナーの質問にもスタッフの方はていねいに答えてくれ、帰り際には別の展示のフライヤーやポストカードをお土産に。「アートにふれるって楽しいんだな」と浮き立つ心で散歩を続けます。道に面したショーウィンドウには美術品や骨董が並び、さながら美術館ストリートといったムード。道を歩くだけで美術館を訪れたような気分が味わえてしまう(しかも無料で)とは、なんて素敵なエリア!値段もさまざまなので、リーズナブルな運命の逸品に出会えるかも? 「買える美術館」と捉えれば骨董屋めぐりもさらに楽しめるのではないでしょうか。

骨董通りを含めた京橋界隈でうれしいのは、さまざまな作家さんの新鮮な作品に出会えること。散策中に自分のお気に入りの作品を見つけたときの感覚は、小さい頃によく遊んだ“宝探しごっこ”を思い起こさせます。

MEIDI-YA

建築を眺め、生まれ変わった
老舗スーパーに寄り道!

骨董通りを満喫したあとは、中央通りへ。この通りで存在感を放つのは、イタリアルネサンス様式が高貴な印象の「明治屋京橋ビル」です。建物は中央区の指定有形文化財になっている名建築。長いあいだ京橋のランドマーク的存在として親しまれてきました。そして、2015年9月16日についに「明治屋京橋ストアー」がリニューアルオープン! この日は買い物客でいっぱいでした。私は自分へのごほうびとして、おいしいチーズとワインを購入。京橋を訪れる楽しみが、これからさらに増えそうです。

明治屋

SHOP DATA

株式会社明治屋 京橋ストアー

【住所】 東京都中央区京橋 2-2-8
【TEL】 03-3271-1134
【営業時間】 10:00~21:00
【定休日】 年末年始

東京国立近代美術館フィルムセンター

NATIONAL FILM CENTER

フィルムセンターで
映画の魅力をじっくり味わう

中央通りと鍛冶橋通りの交差点を八丁堀方向に少し進むと、「東京国立近代美術館フィルムセンター」が見えてきました。ここは1952年に国立近代美術館の映画部門としてスタートした施設。映画フィルムの収集や保存、復元などを行う国内唯一の国立フィルム・アーカイブの拠点でもあります。貴重な映画ポスターや明治から昭和にかけて活躍した撮影機器などが展示され、日本映画の軌跡をたどることができます。館内はひっそりとした照明に照らされた、映画館を思わせる“落ち着く”空間。シンと静まりかえったフロアでは、企画上映の映画公開を待つ人の姿があり、どこかワクワクしてきます。

常設展・企画展は、210円とリーズナブルで、映画好きにはたまらない展示が気軽に見られるのもうれしいところ。明治から現在まで、数多くの変遷をくぐり抜けながら日本の映画が辿ってきた歴史をコンパクトに体験できます。「映画といえばハリウッド」と思っていた私ですが、ここを訪れて印象はガラリと変わってしまいました。今は、フィルムセンターで出会った映画人たちの作品に興味津々! 次はぜひ企画上映に行ってみたいと思います。

TOKYO INSTITUTE
of PHOTOGRAPHY
で写真の世界へ

フィルムセンターを出て裏通りをてくてく歩いていくと、今度は大きな写真が展示されているビルを見つけました。ここはギャラリーを兼ねた写真作品の企画展などを開催している「TOKYO INSTITUTE of PHOTOGRAPHY」。ベテランから若手までの作家たちが集まって、日本の写真会を盛り上げる拠点になっているのだとか。この日はイングリッド・バーグマンなどかつてのハリウッド女優の写真が展示されていました。モノクロ写真の美しさに見ほれていると、「写真教室もやっていますよ」とスタッフの方に声をかけられました。数年前に写真を始めたくて一眼レフを買ったものの、あまり使っていなかった……という方は、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

TOKYO INSTITUTE  of PHOTOGRAPHY

LIXILブックギャラリー

LIXIL BOOK GALLERY

お気に入りの一冊が見つかる
ギャラリー併設の書店

さらに、ちょっと好奇心を満たしてくれるようなスポットへ。立ち寄ったのは、アートファンなら一度は訪れたい書店、LIXILブックギャラリーです。こぢんまりとした入り口とは裏腹に、壁際に本棚がズラリと並んだ奥ゆきある店内は、普通の書店とはひと味違う品揃え。建築やインテリアを中心にテキスタイルや民俗学等の独自の視点でチョイスされた本たちを眺めていると、「キレイ」「かわいい」「参考になりそう」と思うものばかり。大切な人への贈り物を探すのにもおすすめの書店です。定期的にイベントも開催されているので、ぜひ注目してみてくださいね。

SHOP DATA

LIXILブックギャラリー

【住所】 東京都中央区京橋3-6-18
東京建物京橋ビルLIXIL:GINZA 1F
【TEL】 03-5250-6543
【営業時間】 10:00~18:00
【定休日】 水曜
【URL】 http://www1.lixil.co.jp/bookgallery

GAS LIGHTING

京橋のシンボル・ガス灯を見て
明治時代に思いをはせる

アート散歩の締めくくりに訪れたのは“京橋のたもと”、東京のガス灯発祥の地にモニュメントとして残っているガス灯です。着いたのは日も暮れなずんできた夕刻。高速道路の下で、うっかり見逃してしまいそうな場所にあるため、灯りを見た瞬間に「見つけた!」と、うれしい気持ちに。

ビルのイルミネーションを背景にともるガス灯の光は、明治時代をしのばせる、どこか懐かしくやさしい雰囲気。めまぐるしく変化しながらも、昔からの文化を受け継いでいるこのエリアを象徴しているようです。「今度アートスポットめぐりに友人を誘うときには、ここで待ち合わせしよう!」と心に決めました。

高速道路下のガス灯

銀座駅

GINZA STATION

繰り返し訪れたくなる、
京橋の街

日本橋と銀座をつなぐ大通りから一歩小道に入ると、そこは歴史とアートが融合した、さまざまなカルチャーへの世界に通じる「扉」がありました。明治・大正ロマンに思いをはせて歩いてみれば、さらに様々な発見に出会えることでしょう。繰り返し訪れたくなる街、それが京橋の奥深さであり、魅力なのです。